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2017年8月22日 (火)

ストライキ

労働条件改善のために労組で活動することにより、目に見えて雑務が少なくなってきています。
業務自体がなくなったものもあれば、組合員に限って免除されたものもあります。
後者については、相対的に非組合員の負担が増えることになりますが、組合は慈善団体などではなく、組合員の利益のために活動しているので、まあ、やむを得ないでしょうね。
ただし、こうした活動が将来的には教職員全体の労働条件改善に結び付くので、長い目で見れば非組合員にもメリットはあるのですが、目先のことしか見ていない人は、「組合のせいで仕事が増えた」などと的はずれな逆ギレをします。目先の業務負担も減らしたければ組合に加入すれば済む話なのに、そういう選択もせずに愚痴をこぼしているだけなんですよね。不思議な人たちです。

国公立大学や、あるいは私大でも教員に雑務があまり降ってこないところだと、あまり問題にならないのかもしれませんが、本学のように教員を研究者ではなく単なるコマとして扱っているようなブラック大学では、頼れるものは労組しかありません。
「労働条件の改善のために組合活動に時間を費やすのは本末転倒じゃないの?」と、学外者から言われたことがありますが、そういう人たちはブラック私大の現状をわかっていないのでしょう。むしろ真逆であって、組合活動をしなければ、その何倍もの雑務負担によって研究・教育の時間がどんどん奪われるという状況など、想像できないのかもしれません。
例えば国立大学も今はいろいろ大変だとは仄聞しますが、こういうことひとつをとっても、まだまだ国立は恵まれているんじゃないかと思えてきます。

さて、うちの労組は、去年、スト権を確立しました。約半世紀ぶりということになります。
「労組はスト権を有する」ということは、中学校の社会科の知識ですから、誰でも知っていることでしょう。しかし、実際にストを決行するというのは、そんなに簡単なことではありません。
「確立する」という言い方からもわかるように、いつでも自由にできるわけではなく、その確立には(内部規約にもよりますが)全組合員投票が必要となります。
顧問弁護士からは、確立は難しいのではないかと言われていましたが、総会で発議し承認、そして全組合員投票でも大部分が賛成し、無事に確立しました。
この春、JR東日本労組がスト権を確立した際、「伝家の宝刀」と報道したメディアもありましたが、まさにそのとおりです。
私が中高生くらいの頃は、旧国鉄に限らず、どこの会社がストをするとかしたとかいうニュースがよくありましたが、最近はストをする労組は減っているのか、あまりニュースになりません。
特に、学校関係でのストなどは非常に少ないと思われ、ほとんど耳にしません。現在、大学の労組でスト権を確立しているところはどのくらいあるのでしょうかね。

まあ、ストといっても某業務に限定した部分ストであるうえ、少数組合なので、ほとんど業務に支障はありませんでした。事前通告し、法人が代替要員を確保する時間は十分にありましたから。
こちらも業務を妨害する気などはさらさらなく、あくまで交渉のためのカードです。ただ、上記の如く、代替要員の確保が容易なので、法人にとってはたいした脅威にはならないんじゃないかという懸念はありました。
ところが、予想以上に法人は慌て、総会にスパイを送り込んでくるわ、団交では泣き言を言うわで、なかなか愉快でしたね。
そのうえ、「検討します」「善処します」と言いつつまったく放置されていたいくつかの交渉事項が急に進展したので、効果覿面です。
法人が恐れたのは、業務に支障が出ることよりも、「○○大学でスト」とメディアに採り上げられることだったのではないかと思われます。とはいえ、本学のメディア統制力は相当なもので、まずい事案はたいてい揉み消されます。事実、昨冬に実行したストはまったくニュースになりませんでした。
まあ、ごく少人数だったし、業務への支障もなかったので、たいしたニュースバリューもなかったでしょうが。

半世紀前のストは、某学部の昇任人事に法人が不当介入したことに端を発し、その学部の少なからぬ教員が全面ストをしたことから休校状態に。そのうえ、労組と対立していた学部長の別件不祥事も明るみに出て、全国紙を賑わせたそうですが、現在、ネット上ではその情報はほとんど見付けられません。これこそ本学の揉み消し部署の力でしょう。
もっとも、当時の新聞記事を探せばすぐ見付かりますので、揉み消すといっても限界がありますけどね。

今年は、改めて組合員投票をすることで、スト権の範囲を拡大しました。
学生教育には支障が出ないようにしていますが、これまで「通常業務に含まれる」という魔法の言葉で残業代もなく無制限に押し付けられていた種々の業務を対象としているので、相当に楽になりました。
しかし、労組がスト権を有しているという中学校レベルの常識を知らない教員が少なくないのも確かで、「はあ? スト? なんだそりゃ。ふざけてないで仕事しろ」などと放言する御仁もいるのが現実です。そういう発言は明白な不当労働行為ですが、組合員のなかにも、自分だけ仕事をしないということに罪悪感を持ち、なかなかスト権を行使できないという事例もあります。
こういう状況を放置・黙認すること自体、組合活動の萎縮を助長することに繋がりますので、本来、事務職員や管理職教員が、最初から組合員にスト対象の業務を振らないようにしなければならないはずです。
実際、「空気を読め」という同調圧力があるのは確かですし、スト権への無知・無理解からストを非難する人もいて、そういう連中の顔色をうかがい、「人間関係を壊したくないから」という、法的にはなんの意味もない理由で、なかなかストに踏み切れない人もいます。
少数組合は、やはりこういうときに不利ですよね。なので、今後もそういう状況が続くようであれば、こちらも強行策を採ることも考えなければなりません。

まあ、私はそういう人たちを、法律を知らない単なる無知だとしか思っていないので、空気を読まず平気でスト権を行使しますが。
研究しない自分を正当化するには、膨大な雑務を引き受けるている自分に酔うのがもっとも手っ取り早いということをこの数年で理解しました。研究と教育のために大学教員になった私は、そういう「奴隷の鎖自慢」などに付き合っている暇はありません。
研究・教育に十分な時間と労力を投入するためにこそ、組合活動は不可欠だと考えます。

ついでにいうと、本学では、いい加減な前歴換算により初任給の号俸を不当に低く設定しています。なので、世間に公表しているモデル賃金はまあまあそれなりですが、実際にその額をもらっている教員は少ないと思います。
組合では、組合員の分だけ前歴換算の再計算を要求し、その結果、多くの組合員が定期昇給分を上回る昇給をしています。私も、おかげで生涯賃金にして数千万単位で利益を得ました。
これだけのメリットがあるのに、労組を否定的に捉える人たちの気が知れません。

もっとも、健全な職場であれば労組に頼る必要もないでしょう。しかし、運悪くブラックな職場に就職してしまった人は、頼れるものはほかにありません。
職場に労組がない場合は、地域や業種別の組合に加入するなり、数人の同志を集めて立ち上げるなりしましょう。
あるいは、労組はあるけど力がないとか、御用組合だという場合は、自ら改革するくらいの気持ちがなければ、いつまで経っても変わりません。
「同じ立場の人がこれだけ大勢いるのだから、誰かがやってくれるだろう。わざわざ自分が矢面に立つ必要はない」というのは、誰もが持つ考え方です。それゆえ、誰もやってくれないという可能性も高いのです。
いつか誰かがやってくれるだろうとあてもない夢想をして自ら動こうとしない人は、一生ブラック企業に搾取され続けるしかありません。 まあ、それはそれで余計なことを考えずに済むので、ある意味で幸せなのかも知れませんが。

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