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2018年2月

2018年2月26日 (月)

裏口人事反対闘争(4)

(承

ところで、私はC専攻への受け入れについて議論した専攻会議以降、この人事に関わる会議はすべて録音しておくことにしていました。
その翌週の教員会議も録音していたのですが、学部長が将来的な配置転換の際に専攻の意向を無視しないと約束してくれたことで安心し、この問題はもう解決したとばかりに、それまでの録音データをすべて消してしまいました。
これまで、いかに学部長が信頼できない人物であるかを嫌というほど見てきたはずなのに、どうしてこの時、「専攻の意向を無視しない」という口約束をあっさり信じてしまったのか。
いや、口約束といっても、会議の場での発言ですから議事録にはしっかり記載されるはずです。なので、それを信じてしまったのはやむをえないでしょう。
しかし、学部長の卑劣さは、そんな私の想像を遥かに超えていました。録音データの消去は、痛恨の失策というほかありません。

議事録は、事務職員が起草した議事録案を事前に全教員で確認し、問題がなければ次の会議で承認され、議長(学部長)と議事録確認者(毎回2名が指名される)が捺印して正式な議事録として残されます。
年が明けて1月上旬、事務職員から先月の議事録案が送られてきました。それを見ると、研究所受け入れ云々の記載はありましたが、配置転換に関わることがまったく記されていません。なので私は、次の文を追記するようメールしました。
「なお、将来○○学部に移籍を打診されるようなことがあれば、その際には必ず議論の場を設け、専攻の意向を無視した受け入れはしないと学部長により確約された」と。
ところが、1月の教員会議では、「準備が間に合わないので、前回の議事録確認は次の会議でおこないます」とのこと。議事録にたった一文を追記するのに、なにが間に合わないというのでしょうか。
2月の会議の冒頭、ようやく議事録案が配られました。それを見ると、私が追記するよう指摘した箇所が、「○○学部に移籍の際は、当該専攻と相談する」とされていました。訂正案をそのまま追記すれば済むのに、どうしてわざわざ書き直すのか。しかも、これではずいぶんニュアンスが異なります。「移籍の際は」では移籍が既定事項であるように読めますが、そうではなく、もし移籍ということになれば、でしょう。また、「相談」なんて曖昧な言葉はひとことも出ていなかったし、専攻の意向が反映されない可能性もあります。なので、この記述は不適切であるといったところ、「いや、これでいいでしょう。『相談はします』と言いました」と。
「つまり、相談はするけど、その結果、専攻の意向は無視されるかもしれない、ということですか?」と確認すると、「そういうこともあり得ます」と、驚くべき発言。
ちょっと待て、それじゃ会議の場で確認したこととまったく違うじゃないか。発言内容を一語一句正確に記す必要はないとしても、これではその場で了解されたこととまったく異なるので、到底承服できません。
そのように抗議しましたが、学部長は頑として認めず、私も一歩も譲らず、その場では結論が出ないまま保留ということになりました。そして、「では、あとで一緒に確認しましょう」と。

「一緒に確認」とは?  そうか、事務職員が議事録を作るために会議を録音してて、そのデータを確認するということなのでしょうかね。
これまで、会議が録音されているとかいないとか、意識したこともありませんが、議事録の正確さからして、そういうことなのでしょう。

しかし、私は間違いなくあのように言ったし、学部長もそれを確約しました。録音データを確認したら、私の言っていることが正しいと証明されるだけなのに、どうして学部長はそこまで自信満々なのか。
いくらなんでも、録音データを改竄するとかいう下手なドラマみたいなことはしないでしょう。
もしかしたら、私の思い違いなんじゃないかと自信がなくなりましたが、ほかの教員にも確認したところ、私と学部長との間で、間違いなくそのようなやりとりがあったということです。

さて、2月は議事が多いため、次の会議は1週間後。
会議前日、学部長からメールが来ました。私のほかに、C専攻主任と議事録担当の事務職員にも同送され、「明日、○時(会議開始の1時間前)に学部長室で議事録確認をするので、おいでください」と書いてあります。
宛先のなかに主任が含まれているのは、はなはだ不審ですね。12月の会議の議事録確認者として指名されていたのは他専攻の教員2名でしたが、その人たちではなく、まったく無関係のC専攻主任。コネ人事の受け入れ可否は3専攻の問題だったし、将来的な移籍の可能性ということになれば学部全体の問題です。そのうえ、C専攻主任は12月の会議は欠席していました。なのに、どうしてこの人が議事録確認に立ち会うのか?
あまりにもツッコミどころ満載でしたが、前日にメールでゴチャゴチャいうのも面倒だし、なにより学部長がなにを考えているかわからず怖いので、ひとまず「了解しました」と返信。

当日、私は万が一の事態に備え、ポケットにICレコーダを忍ばせ、学部長室に行きました。
そしてまず、正規の議事録確認者でなくC専攻主任が立ち会っている理由について尋ねたところ、学部長は「当該専攻ということで」と回答。重ねて私が、「これはC専攻ではなく、学部全体の問題ですよね」と確認しましたが、「ええ、そうなんです、そうなんです」と言いつつも、まったくその理由について説明することもなく、「ええと、テープ起こしをしましたので、これで確認しましょう」と、書き起こし文書を配布しました。
録音データではなく書き起こし文書と来たか。これは予想もしていませんでした。
書き起こしには相当な時間がかかると思いますが、わざわざこのためにそんな面倒なことをやったのでしょうか?
・・・ともかく、その文書を読んで当該発言を探してみたのですが、「必ず議論の場を設ける」「専攻の意向を無視した受け入れはしない」等の発言がまったく出てこない。おかしいな、絶対にこのあたりでそう言ったはずなのに。心を落ち着かせ、もう一度しっかり読み直してみましたが、やはり見付かりません。
もしかして、都合の悪い箇所を削除しているのか?
なるほど、録音データの改竄なんて素人が簡単にできることではないが、文書の改竄ならば誰でも容易にできますからね。
そう思ってよくよく読めば、私が確かに発言した他の内容(コネ採用候補者の研究能力云々)についても、明らかに割愛されている箇所がいくつかあります。これは、間違いなく改竄してますね。
まさか、学部長がここまで卑劣なことをするとは・・・。想像を絶する悪意を目の当たりにし、私は深い絶望を感じました。
それでも、なんとか全体的な議論の流れからしてこういう結論になったはずだと主張しましたが、なにぶん決定的な発言が消されているため、説得力はありません。
そのうえ、会議当日にいなかった主任も一緒になって、「専攻の意向を無視しないという表現は、専攻の意向がすべてに優先するというようにも聞こえるので現実的ではない」とかなんとか言い出し、もはや「12月の会議でどんな発言があったか」ではなく、「将来的にどういう方法で移籍問題に対応するのが妥当か」という話になってしまい、そういう前提の文言が作文され、当日の議論とは似ても似つかぬ議事録を強引に認めさせられました。
学部長に有利な場所とメンバー、そして誰がどんな意図で書き起こしたかもわからない出所不明の“怪文書”。これでは最初から結論は明らかで、こちらの主張が通るわけがありません。
日常生活を送るなかで、ある日突然、こんな戦時下の言論統制のような理不尽な目に遭おうとは、いったい誰が想像するでしょう。その場にいながらも、自分が置かれた今の状況をとても信じることができない。そういう気持ちでした。

そのうえ、議事録が確定してからも(つまり呼び出しの名目である議事録確認が終わってからも)、学部長は私をその場に引き止め、「ところで、この話が組合に行っているそうですが、これを漏らしたのはあなたですか?」と言い出しました。
すでに書いたように、学部長は11月の段階(私の組合加入前)で、この件について組合と協議をしていますし、A専攻の組合員を守秘義務違反と称して恫喝もしています。なので、私が人事問題を「漏らした犯人」でないことはわかりきっているはずです。
なのに、学部長室という密室で、主任と事務職員という「学部長側」の人たちを従え、きわめて強い口調、険しい表情で「非常に困る」「守秘義務違反」と私を「犯人」呼ばわりするのですから、これはもうただのパワハラというだけでなく、完全なる不当労働行為です。
しかも、その過程で、「理事長が採れと言ったら採るしかない。教授会はそれを断る権利はないんだ!」等々、学則(人事の承認には教授会の3分の2以上の賛成が必要)に反する発言までして、学則を盾にこの人事に反対している組合の活動は無意味であるとばかりに、組合員としての私の主張を徹底的に否定。学部長の言い分は、完全に論理破綻していましたが、それでもその剣幕に気おされ、私はまったく反論することができませんでした。

完膚なきまでに尊厳を傷つけられた私は、せめてもの抵抗を試み、改竄の証拠となる書き起こし文書を持ち帰ろうとしましたが、追い打ちをかけるように、「それは回収します」と。
ここは強く抵抗してでも持ち帰るべきところでしたが、しかし持ち帰ったとしてもこちらに録音データがないため十分な検証はできないし、なにより、長時間にわたる説得、強要、非難、恫喝によって心が折れていたため、抗うことはできませんでした。
自分の弱さを呪いましたが、しかし、この状況に置かれ抵抗できる人なんて、ほとんどいないのではないでしょうか。
それまで、パワハラ被害者の多くが泣き寝入りするということについて歯がゆい思いを持っていた私ですが、いざ我が身に降りかかってみると、なるほど、パワハラというのは単に怖いというだけでなく、こうして抵抗する気力すら奪われるものなのか・・・と、ぼんやり考えていました。

(続く)

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2018年2月10日 (土)

裏口人事反対闘争(3)

(承

それにしても不可解なのは、どうして学部長は、ここまで忠犬の如く法人に服従するのかということです。
「私が学部長でなかったら、こんな汚い人事は絶対に反対するが、学部長という立場上できない」。
学部長の立場にある人には、学則よりも、学問や教育よりも、同僚や学生からの信頼よりも、なお優先しなければならないことがあるとでもいうのでしょうか?
着任から年数の浅い教員たちの目には、この人事にかかわる学部長の強引な態度はきわめて奇妙なものに映っていました。「理事になにか弱みでも握られているのかな」と話し合ったこともあります。
しかし、やや長くこの大学にいる教員にいわせると、そういうことではなく、「要するに、理事になりたいんでしょ、あの人」と。
大学理事というポストがそんな魅力的なものだとは思っていなかったので、そういわれてもピンときません。よくよく聞いてみると、本学の理事になると、年2000万円の理事報酬が生涯支給されるそうです。
なるほど、退職後に年金暮らしになるか年収2000万生活を送れるかでは、天と地ほどの差がありますね。
しかし、そもそも学問をするために大学教員になったはずなのに、カネに目がくらんでなりふりかまわず法人の手足となり、ここまで恥知らずな振る舞いができるものでしょうか? というか、理事になるには、そういう手段しかないのでしょうか?
自分の学問に見切りをつけた人にとって、もはやこれしか拠り所がないのだとしても、いやはや本当に憐れな人ですね・・・

さて、それはともかく、C専攻での受け入れ承認に失敗した学部長が、これからどう動くか。
ここは、学者としての誇りを失わず、自分の進退を賭けてでも理事に諌言してほしいものです。「我が学部は、このような人事を受け入れることは断じてできない」と。
学問とはなにか。教育とはなにか。大学とはなにか――。
少しでも良心が残っているのなら、多くの教員のこうした真摯な主張を受け止め、そのくらいの男気を見せてくれるのではないかと、わずかばかりの期待をしましたが、当時の私は、あまりにも学部長という人間を知らなすぎました。
今ならわかります。この男は、絶対に、そんな器ではない、と。

受け入れの同意を得られなかった専攻会議の2日後、再び専攻会議が緊急招集されました。
嫌な予感しかしませんでしたが、案に相違し、会議では主任から「候補者の所属は○○研究所に決まりました」との報告を受け、安堵のため息をつきました。
これは学内の研究所ですが、所員はみな学部所属教員が兼任しており、専任教員はいません。専任教員のいる研究所もいくつかありますが、そうではない研究所に新たに専任ポストを作ったわけですから、法人はかなり無理をしたと思われます。そこまでしてでも通さねばならない人事だったということでしょう。
ただ、その研究所の業務のほかに、専任教員としての責任コマ数をこなさなければなりません。
もともと専任のいない部署ですから、所管科目はありません。そこで、本学部から科目を提供してほしいということで、ABC各専攻が「痛み分け」として、それぞれ数コマずつ提供することになったそうです。なので、C専攻からも提供科目を決めましょう、と。
でもこれ、よく考えるとおかしな話ですよね。
学内の兼担でも、あるいは非常勤講師であっても、科目担当者を決めるのはその科目を所管する学部や学科・専攻の教員です。そこで履歴書や研究業績を確認したうえで審議して決めるものなのに、教員としての受け入れを拒否した3専攻が、科目を無条件で提供するなんて、意味がわかりません。
しかし、各専攻とも専任としての受け入れを回避できたことに安心し、そのくらいならしょうがないという空気になっていたのでしょう。いま思えば、この時にしっかり科目担当者決定の正規プロセスを踏んでいないことを抗議しておくべきでした。だいたい、こっちはなんの落ち度もないのに、「痛み分け」ってなんやねん。

また、専攻会議後にはこのようなことを思いました。
専任教員が配置転換で学内他部署に移動することがたまにあります。その場合、新規採用とは比べものにならないほど簡単な手続きで承認されます。
ということは、最初は研究所に配属しておき、数年経ったら(下手したら1年で)本学部に配置転換というストーリーを法人は描いているのではないかと。うちの学部で授業を担当させることで、既成事実もできてしまいます。
だとしたら、これは完全な騙し討ちではないか。早急に釘を刺しておかなければなりません。

翌週の教員会議で、学部長より、候補者の研究所配属と、3専攻からの科目提供について報告がありました。
私はそれまで教員会議で発言したことなどほとんどなかったのですが、ここ数ヶ月の動向を見ていると、黙っていたらとんでもないことになりそうなので、意を決して学部長に質問をしてみました。
「今回の人事、突然うちの学部に降ってきて大騒ぎした結果、どこの専攻でも受け入れることができないということになり、かと思ったら、次はあっさり研究所に決まったわけですが、我々はなにがなんだかわからないまま、ずっと振り回されていたように思います。その人の受け入れをめぐり何十時間も議論し、みんな疲弊しきっているわけですから、少なくともこの人事の背景について、法人に説明を求めるべきではないでしょうか?」と。
しかし学部長からは、「そんなこと、できるわけがない。我々は黙って従うしかないんです」と、あまりにも情けない回答。人の上に立つ器でないことは、ここからも明らかです。
呆れましたが、こんな人が学部長になってしまった不幸を今さら嘆いてもしかたありません。それよりも、配置転換について確認するほうが重要です。
「とりあえず研究所で採用してから、あとでうちの学部に配置転換という可能性はないのですか?」と質問すると、「それはなんともいえない。そういうこともあるかもしれない」というので、やはりそうかと思いつつ、「では、もし将来そういう話が出た場合は、専攻教員の知らないうちに決まっていたり、強引に押し付けたりすることがないよう、受け入れの可否についてちゃんと議論する場を持ち、専攻の意向を無視しないということを約束してください」と念を押すと、学部長はそれを了承しました。
よし、これで言質を取ることができた。議論の場さえ保障されれば、3専攻とも何度議論しても同意は得られないはずだから大丈夫。

さて、私のこの発言を受け、会議終了後、AB専攻の組合員が勧誘に来ました。
着任以来、長らく組合に入る必要性を感じていなかったため(着任当初の組合は弱腰だったということもあり)ずっと未加入でしたが、ここ数ヶ月の動きを見て加入するつもりでいたので、一も二もなく手続きをしました。
そしてこの人事にかかわる交渉の中心となっている書記長(他学部教員)を紹介され、現状と今後の戦略などを教えてもらいました。

続く

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さて

堰を切ったかのように、突然「裏口人事」ネタが投下されたので、なにごとかと思ったことでしょう。実際、それなりに反響もありました。
これまでも、この件を匂わせるようなことは何度か書いていますが、はっきりと書いたことはありません。
ことの起こりから3年以上が経過した今になって記事にするということは、なにか大きな進展があったのだろうと思っていただいてかまいません。

ただ、より大きな進展を目指し、次の段階へと進めてゆく過程で、この記事が邪魔になる可能性はゼロではありません。
その場合はすぐに消します。

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2018年2月 7日 (水)

裏口人事反対闘争(2)

(承

学部長に専攻でのコネ人事受け入れを強引に了承させられた日、帰りにメールボックスを確認すると組合ニュースが配布されていました。
それには学則の当該条が引用され、「非公募の人事であっても、その承認は学則に従う必要があります」と。具体的な事例は挙げず、あくまで一般論としてごく簡潔に書いていますが、このタイミングでこれが非組合員も含めた本学部全教員に配布されたことの意義はとても大きいでしょう。

さて、週と月が改まり、専攻会議で主任より面接の報告がなされました。面接をした結果、「候補者の受け入れはC専攻にお願いしたい」ということが主任会議で承認された、とのこと。
その報告が終わるやいなや、私は「面接前日に学部長が研究室に来て、C専攻で受け入れたいと私を説得し、その時はしぶしぶ了承しました。しかし、改めて候補者の論文を読み直したところ、研究能力からしてとても本学・本専攻の教員は務まらないと判断し、やはり反対します」と。
学部長をチラッと見ると茫然としていましたが、気にせず、いかにその人の研究能力が劣っているかということを、当該分野や隣接分野の研究動向等とも併せ、詳細に説明しました。
続いてもう1人の教員も、私とは異なる視点から候補者の研究能力のなさと、専攻カリキュラムとの不適合性について説明。分野は異なるものの、C専攻のなかでは比較的その候補者に近い位置にいる2人の教員がこれだけ強く適性に疑問符を付けているのですから、まともな研究機関であれば、この人の採用はありえないでしょう。「専門の近いおふたりがそう判断するのなら、私も同意します」という意見も複数出ました。
ところが、「これはもはや、研究能力がどうこうという問題ではなく、大学が採れといったら採らざるを得ない。どんなアホでも採らなくちゃならない、そういう人事なんだと思います」「だから、研究能力の有無ではなく、どうやったらうちの専攻で受け入れることができるのか、うまくこの人を使うことができるのか、そういうことを考えていきましょう」という呆れるような意見も出ました。
着任してから3年と数ヶ月、それまでは研究者・教育者としても、お人柄も、とてもよい同僚に恵まれたと思っていた私にとって、非常にショックでした。この人たち、いったい大学をなんだと思っているんだ? 大学の社会的責任ということを考えたことあるのか?
とはいえ、受け入れ派の人たちも、本音をいえば受け入れたくないわけですし、そもそもその理屈でいけば、AB専攻は断ったのにC専攻だけが泥を被るということが説明できません。何時間議論しても結論は出ず、主任が「では、同意は得られないということですね」と締めました。
思惑がはずれ、学部長はショックだったでしょう。
「C専攻で受け入れの同意が得られなかった」という結果を学部全体の会議に出せば、他専攻の人も「同意が得られないならC専攻に押し付けることはできないよね」と思うでしょうし、「非公募人事も学則に従う」という組合ニュースが配られたこととも併せ、3分の2以上の賛成はとうてい得られないでしょう。そういうことが脳裏を駆け巡ったのか、学部長は突如、「組合があんなニュースなんか配るから面倒なことになったんだ!」と逆ギレして組合を非難し始めました。
いったいなにを言ってるんだ、このおっさん。組合は、学則の条文を引用し、学則を守りましょうという当たり前のことを書いただけです。それにキレるということは、自分は学則違反をしてでも人事を強行したかったと白状しているようなものです。呆れて言葉もありません。
なお、この時点ではC専攻に組合員はいませんでしたが、私を含め加入を検討している人もおり、学部長の逆ギレは、組合加入をためらわせるのに十分な威嚇となりました。もしかしたら、組合員の増加を抑止しようという意図もあったのかもしれません。

しかし、なにはともあれ、これでC専攻での受け入れはほぼなくなったと思いますし、他の専攻でも同様です。12月はじめの段階でこの状態では、もう本学部での受け入れは無理でしょうね。
とはいえ法人は、本学にとってきわめて重要な某人物のコネ人事を、今さら白紙撤回するわけにもいかず、次はどんな手を打ってくるでしょうか。

続く

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2018年2月 3日 (土)

裏口人事反対闘争(1)

(承

私が本学に着任して4年目の秋、法人から「この人物を採用せよ」との指示を受けた当時の学部長が、ある専攻(A)に受け入れを打診していることを知りました。
 
それまで専任教員採用人事は全部公募で決めてきたし、自分も真剣勝負で選考してきたというのに、一方でこんなことがなされていることを知り、たいへんなショックでした。
例えば作家や芸術家、実務家教員等、公募では採りにくいタイプの人材もいます。そういう場合に公募でなく、受け入れ部署の教員が必要な人材を検討して一本釣りをするというのであれば話は別です。
しかし、この時に法人が採用を指示してきたのは、公募をすればいくらでも応募者が集まる分野の研究者であり、しかもその人は、過去5年論文を書いていない、はっきり言って無能な研究者でした。この程度の業績では、日本中どこの大学でも書類選考すら通らないことが確実なレベルです。
1999年以降、本学部ではずっと専任教員を公募で決めてきたそうです。なのに、どうして突然こんな研究者を非公募で採用しようとするんだろうと不思議に思い、素姓を調べてみたところ、おそらく本学にとってきわめて重要な立場にいる某人物のコネであろうということがわかりました。
そういうコネがあるだけで、無能な研究者が我々の同僚になるなんて許せません。そんな人を採った日には、外からは、我々もコネ採用なんじゃないかという目で見られてしまいます。専任職に就くまでに自分が経験してきた苦労と、高倍率をくぐり抜けて本学に採用されたことを思い起こせば、断じて許せることではない。
それに、学生に対しても失礼です。本学の学生は、こんなエセ研究者に騙されるほどバカではありません。
 
ところが、受け入れを打診されたA専攻は、カリキュラムの編成上、その人物を受け入れることは無理であると言って断りました。
のみならず、A専攻では、長年教員を苦しめてきた某問題が教員労組の力で解決し組合員が急増している時期でしたので、この時点でコネ人事の成り行きは組合も注視するところとなりました。
 
そういうことを知ってか知らずか、学部長はそこへの押し付けを断念し、他の専攻(B)へ打診し始めました。
しかし、そもそも専門分野も違いますし、どう考えても無理筋の依頼です。こちらもカリキュラム上、まったく受け入れる余地のない状態でしたが、どうしてもこのコネ人事を通したかった学部長は、B専攻の会議に乗り込んで主任を怒鳴りつけるなどという暴挙に出ました。
こうなると、もはや正気の沙汰ではありません。B専攻に組合員はいませんでしたが、危険を感じてある教員が組合に加入しました。
 
なお、当時の学部長は私と同じ専攻(C)の教員です。
ある日、私の研究室を訪れ、コネ採用候補者の研究能力について尋ねてきました。
私とは分野の異なる研究者ですが、対象とする時代が近いということもあり、私の意見を聞きたかったのでしょう。
なので私は、「はっきり言って、本学の教員が務まるとは思えませんね。こんな人を採るなんて、研究機関としての見識が疑われます。論外です」と答えました。
「まあ、業績からしてそうだろうとは私も思うけど、でもこれは上からの指示で、どうしても通さなきゃならない人事なんだよ。これを断ると、うちの学部が理事から報復を受けるかもしれない」と学部長。
私の機嫌を取るためか、あるいは本音なのか知りませんが、この人事のことを「汚い人事」とも言っていました。
しかし、すでにB専攻からも反対されており、下手すればうちの専攻で採るとか言い出すんじゃないかという懸念を私が口にすると、「なんとかB専攻に折れてもらうから、C専攻で採るということは絶対にありません。なので、いやだろうけど、同じ学部の教員として迎えることを我慢してほしい」とも。
「折れてもらう」とか言うけれど、私に対し「いやぁ、この前なんて○○さんを怒鳴りつけちゃってさw」と、B専攻主任に受け入れ強要ハラスメントをしていることを誇らしそうに話すので、ドン引きしてしまいました。「やばい、この人、既知の外だ」。
とうてい納得はできませんが、この調子では最終的にB専攻は屈服させられるでしょう。それがどんなに暴力的なやり方であっても、「B専攻が同意した」ということになれば、所属の異なる私は口出しできません。
うちの専攻に来ないだけ、まだましだと思って諦めるしかないのかな・・・。
 
ここまで、9月から10月にかけてのできごとです。
こういう裏口人事が進んでいたことは、この時点では受け入れを打診された専攻や、学部長から相談された教員等、一部しか知らない状態でした。
 
11月になり、教員会議で学部長より全教員に報告がなされました。「これは、上からの指示で、断ることのできない人事です」と。
そして、11月末に学部執行部全員(学部長・学部長補佐・各専攻主任)で採用面接をすることが承認されました。
この時点で、まだどこの専攻で受け入れるのかは決まっていなかったものの、学部長としてはB専攻に受け入れてもらうという前提で進めようとしていました。
それに対し、組合に入ったばかりのB専攻の教員が、「それは、もう受け入れ先はB専攻と決まっているように聞こえるのですが」と抗議したところ、学部長は血相を変え、「もちろんそのつもりで言ってるんだ!」と怒鳴りつけました。これまでも、会議で声を荒げることは何度かありましたが、このとき多くの教員が、学部長のハラスメント気質を再認識したことでしょう。

さらにその数日後、A専攻の組合員として中心的な立場にあった教員に対し、学部長は「人事問題を組合に漏らしたのはあなたでしょう。あなたは守秘義務違反でなんらかの罰を受けることになります」と脅しました。
いうまでもなく守秘義務というのは機密を「第三者」に漏洩しないということであり、同じ守秘義務を負う専任教員は(専任教員で構成される組合も)「第二者」ということになります。そんな簡単なこともわからないとは、アタマ大丈夫かこの人・・・
もしかしたら、部署内の機密を、組合という別組織に「漏らした」と言いたかったのかもしれません。しかし、組合は法人との間で守秘義務に関わる申し合わせをしており、学部の会議で採り上げた情報を組合に提供することになんの問題もありません(そうでなければ、そもそも組合は各種労働問題に対応できません)。
学部長ならば当然それを知っているはずですし、仮に知らなかったとしても自己責任です。勝手な思い込みにより、さも組合員が違反行為をしたかのような言いがかりをつけて恫喝し、萎縮させ、組合活動(不正人事への抗議)を阻害することは、ハラスメントであるのみならず、典型的な不当労働行為です。

これが決定打となり、組合が動き出しました。
法人は組合の要求に応じ、この人事についての協議の場を設け、書記長・AB専攻の組合員と、学部長・事務長・法人人事部とが話し合い、改めて「AB専攻は受け入れを拒否する」ということを確認。
そしてまた、教員会議での学部長の発言「断ることのできない人事」というのは学則違反であり(人事の承認には教授会の3分の2以上の賛成が必要)、会議で決を採っていないにもかかわらず「採用候補者」として議事録に載せるというのであれば私文書偽造罪(議事録改竄)で刑事告発すると警告。「学則に従い、この人事も教授会で3分の2以上の賛成がなければ承認されない」=「3分の1以上の反対で否決できる」ということが確認されました。
なお、この時点では私はまだ組合に加入していませんでしたが、組合員から状況を聞いていました。
 
さて、この協議がおこなわれたのが面接の2日前。
AB両専攻から受け入れを拒否され切羽詰まった学部長は、その翌日、即ち面接前日に私の研究室を訪れ、「もうC専攻で受け入れるしかなくなった。頼むから了承してくれないか」と私を説得し始めました。
「え、C専攻で受け入れることはないと言ってたじゃないですか。今さらそんなこと言われても困ります。私は反対ですよ」と言いましたが、「これを断ったら大変なことになり、私が責任を取れる範囲を超えてしまう」「私が学部長でなかったら、こんな汚い人事は絶対に反対するが、学部長という立場上できない」「f さんの言うことは正論です。しかし、この人事には正論は通用しないんだ」等々、1時間ほど説得され、いつ自分も怒鳴られるかという恐怖もあり、首を縦に振るしかありませんでした。
私が折れたことで、C専攻の他教員からはもう反対は出ないだろうと高をくくり、学部長はひと安心したようです。
しかし、私はすぐに同専攻の他教員と連絡を取り、しばらく相談した結果、やはり反対しようということにしました。また、改めて候補者の論文を読み、研究能力の欠如を再確認しました。
 
続く

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