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2018年2月26日 (月)

裏口人事反対闘争(4)

(承

ところで、私はC専攻への受け入れについて議論した専攻会議以降、この人事に関わる会議はすべて録音しておくことにしていました。
その翌週の教員会議も録音していたのですが、学部長が将来的な配置転換の際に専攻の意向を無視しないと約束してくれたことで安心し、この問題はもう解決したとばかりに、それまでの録音データをすべて消してしまいました。
これまで、いかに学部長が信頼できない人物であるかを嫌というほど見てきたはずなのに、どうしてこの時、「専攻の意向を無視しない」という口約束をあっさり信じてしまったのか。
いや、口約束といっても、会議の場での発言ですから議事録にはしっかり記載されるはずです。なので、それを信じてしまったのはやむをえないでしょう。
しかし、学部長の卑劣さは、そんな私の想像を遥かに超えていました。録音データの消去は、痛恨の失策というほかありません。

議事録は、事務職員が起草した議事録案を事前に全教員で確認し、問題がなければ次の会議で承認され、議長(学部長)と議事録確認者(毎回2名が指名される)が捺印して正式な議事録として残されます。
年が明けて1月上旬、事務職員から先月の議事録案が送られてきました。それを見ると、研究所受け入れ云々の記載はありましたが、配置転換に関わることがまったく記されていません。なので私は、次の文を追記するようメールしました。
「なお、将来○○学部に移籍を打診されるようなことがあれば、その際には必ず議論の場を設け、専攻の意向を無視した受け入れはしないと学部長により確約された」と。
ところが、1月の教員会議では、「準備が間に合わないので、前回の議事録確認は次の会議でおこないます」とのこと。議事録にたった一文を追記するのに、なにが間に合わないというのでしょうか。
2月の会議の冒頭、ようやく議事録案が配られました。それを見ると、私が追記するよう指摘した箇所が、「○○学部に移籍の際は、当該専攻と相談する」とされていました。訂正案をそのまま追記すれば済むのに、どうしてわざわざ書き直すのか。しかも、これではずいぶんニュアンスが異なります。「移籍の際は」では移籍が既定事項であるように読めますが、そうではなく、もし移籍ということになれば、でしょう。また、「相談」なんて曖昧な言葉はひとことも出ていなかったし、専攻の意向が反映されない可能性もあります。なので、この記述は不適切であるといったところ、「いや、これでいいでしょう。『相談はします』と言いました」と。
「つまり、相談はするけど、その結果、専攻の意向は無視されるかもしれない、ということですか?」と確認すると、「そういうこともあり得ます」と、驚くべき発言。
ちょっと待て、それじゃ会議の場で確認したこととまったく違うじゃないか。発言内容を一語一句正確に記す必要はないとしても、これではその場で了解されたこととまったく異なるので、到底承服できません。
そのように抗議しましたが、学部長は頑として認めず、私も一歩も譲らず、その場では結論が出ないまま保留ということになりました。そして、「では、あとで一緒に確認しましょう」と。

「一緒に確認」とは?  そうか、事務職員が議事録を作るために会議を録音してて、そのデータを確認するということなのでしょうかね。
これまで、会議が録音されているとかいないとか、意識したこともありませんが、議事録の正確さからして、そういうことなのでしょう。

しかし、私は間違いなくあのように言ったし、学部長もそれを確約しました。録音データを確認したら、私の言っていることが正しいと証明されるだけなのに、どうして学部長はそこまで自信満々なのか。
いくらなんでも、録音データを改竄するとかいう下手なドラマみたいなことはしないでしょう。
もしかしたら、私の思い違いなんじゃないかと自信がなくなりましたが、ほかの教員にも確認したところ、私と学部長との間で、間違いなくそのようなやりとりがあったということです。

さて、2月は議事が多いため、次の会議は1週間後。
会議前日、学部長からメールが来ました。私のほかに、C専攻主任と議事録担当の事務職員にも同送され、「明日、○時(会議開始の1時間前)に学部長室で議事録確認をするので、おいでください」と書いてあります。
宛先のなかに主任が含まれているのは、はなはだ不審ですね。12月の会議の議事録確認者として指名されていたのは他専攻の教員2名でしたが、その人たちではなく、まったく無関係のC専攻主任。コネ人事の受け入れ可否は3専攻の問題だったし、将来的な移籍の可能性ということになれば学部全体の問題です。そのうえ、C専攻主任は12月の会議は欠席していました。なのに、どうしてこの人が議事録確認に立ち会うのか?
あまりにもツッコミどころ満載でしたが、前日にメールでゴチャゴチャいうのも面倒だし、なにより学部長がなにを考えているかわからず怖いので、ひとまず「了解しました」と返信。

当日、私は万が一の事態に備え、ポケットにICレコーダを忍ばせ、学部長室に行きました。
そしてまず、正規の議事録確認者でなくC専攻主任が立ち会っている理由について尋ねたところ、学部長は「当該専攻ということで」と回答。重ねて私が、「これはC専攻ではなく、学部全体の問題ですよね」と確認しましたが、「ええ、そうなんです、そうなんです」と言いつつも、まったくその理由について説明することもなく、「ええと、テープ起こしをしましたので、これで確認しましょう」と、書き起こし文書を配布しました。
録音データではなく書き起こし文書と来たか。これは予想もしていませんでした。
書き起こしには相当な時間がかかると思いますが、わざわざこのためにそんな面倒なことをやったのでしょうか?
・・・ともかく、その文書を読んで当該発言を探してみたのですが、「必ず議論の場を設ける」「専攻の意向を無視した受け入れはしない」等の発言がまったく出てこない。おかしいな、絶対にこのあたりでそう言ったはずなのに。心を落ち着かせ、もう一度しっかり読み直してみましたが、やはり見付かりません。
もしかして、都合の悪い箇所を削除しているのか?
なるほど、録音データの改竄なんて素人が簡単にできることではないが、文書の改竄ならば誰でも容易にできますからね。
そう思ってよくよく読めば、私が確かに発言した他の内容(コネ採用候補者の研究能力云々)についても、明らかに割愛されている箇所がいくつかあります。これは、間違いなく改竄してますね。
まさか、学部長がここまで卑劣なことをするとは・・・。想像を絶する悪意を目の当たりにし、私は深い絶望を感じました。
それでも、なんとか全体的な議論の流れからしてこういう結論になったはずだと主張しましたが、なにぶん決定的な発言が消されているため、説得力はありません。
そのうえ、会議当日にいなかった主任も一緒になって、「専攻の意向を無視しないという表現は、専攻の意向がすべてに優先するというようにも聞こえるので現実的ではない」とかなんとか言い出し、もはや「12月の会議でどんな発言があったか」ではなく、「将来的にどういう方法で移籍問題に対応するのが妥当か」という話になってしまい、そういう前提の文言が作文され、当日の議論とは似ても似つかぬ議事録を強引に認めさせられました。
学部長に有利な場所とメンバー、そして誰がどんな意図で書き起こしたかもわからない出所不明の“怪文書”。これでは最初から結論は明らかで、こちらの主張が通るわけがありません。
日常生活を送るなかで、ある日突然、こんな戦時下の言論統制のような理不尽な目に遭おうとは、いったい誰が想像するでしょう。その場にいながらも、自分が置かれた今の状況をとても信じることができない。そういう気持ちでした。

そのうえ、議事録が確定してからも(つまり呼び出しの名目である議事録確認が終わってからも)、学部長は私をその場に引き止め、「ところで、この話が組合に行っているそうですが、これを漏らしたのはあなたですか?」と言い出しました。
すでに書いたように、学部長は11月の段階(私の組合加入前)で、この件について組合と協議をしていますし、A専攻の組合員を守秘義務違反と称して恫喝もしています。なので、私が人事問題を「漏らした犯人」でないことはわかりきっているはずです。
なのに、学部長室という密室で、主任と事務職員という「学部長側」の人たちを従え、きわめて強い口調、険しい表情で「非常に困る」「守秘義務違反」と私を「犯人」呼ばわりするのですから、これはもうただのパワハラというだけでなく、完全なる不当労働行為です。
しかも、その過程で、「理事長が採れと言ったら採るしかない。教授会はそれを断る権利はないんだ!」等々、学則(人事の承認には教授会の3分の2以上の賛成が必要)に反する発言までして、学則を盾にこの人事に反対している組合の活動は無意味であるとばかりに、組合員としての私の主張を徹底的に否定。学部長の言い分は、完全に論理破綻していましたが、それでもその剣幕に気おされ、私はまったく反論することができませんでした。

完膚なきまでに尊厳を傷つけられた私は、せめてもの抵抗を試み、改竄の証拠となる書き起こし文書を持ち帰ろうとしましたが、追い打ちをかけるように、「それは回収します」と。
ここは強く抵抗してでも持ち帰るべきところでしたが、しかし持ち帰ったとしてもこちらに録音データがないため十分な検証はできないし、なにより、長時間にわたる説得、強要、非難、恫喝によって心が折れていたため、抗うことはできませんでした。
自分の弱さを呪いましたが、しかし、この状況に置かれ抵抗できる人なんて、ほとんどいないのではないでしょうか。
それまで、パワハラ被害者の多くが泣き寝入りするということについて歯がゆい思いを持っていた私ですが、いざ我が身に降りかかってみると、なるほど、パワハラというのは単に怖いというだけでなく、こうして抵抗する気力すら奪われるものなのか・・・と、ぼんやり考えていました。

(続く)

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